幼生
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幼生(ようせい)というのは、動物一般における子供のことを指す言葉である。動物群によってさまざまな名称がある。
目次
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概論
動物のほとんどは卵を産み、そこから孵化したものは親より小さく、構造が単純なものである。それらは次第に成長し、形を変えて親の姿になる。そのような、卵から産まれて親になるまでのものを一般に幼生(ようせい en:Larva pl.Larvie)という。これに対して、親のことを成体と言う。
普通、幼生と言われるのは卵から孵化して、独立に栄養を取り、成長して親になるまでの間の個体である。卵の中にある間はこれを胚と言い、また、胎生や卵胎生のもので、親の体内にいる場合これを胎児という。ただし、分類群によって孵化の時期は異なり、近縁なグループでは既に孵化している段階のものが、別のグループではいまだに卵の中にいるという場合もある。極端なものでは親の体内で卵が親の段階にまで成長してしまうものもあり、この場合には幼生の時期はない、とも言える。しかし、近縁の群で見られる幼生の姿が卵の中で形成される場合も多く、その形態が明確な場合には、それをその幼生の名で呼ぶことも可能である。
幼生は親に似ている場合もあれば、全く異なった姿である場合もある。異なった姿の親子は、その生活も全く異なっている場合もある。そのようなものでは、成長の途中で、構造が大きく変わる訳なので、これを変態と言う。
幼生の形は分類群によりさまざまであり、それぞれに固有のものがあるので、それぞれに命名されている。海産無脊椎動物では、幼生の時期をプランクトンで暮らすものがあり、それを幼生プランクトンという。そのようなものでは、親とのつながりが分かる前に、幼生が発見され、独自に命名される場合もある。そのような例に、ホウキムシの幼生であるアクチノトロカ幼生や、イセエビなどの幼生のフィロソマがある。また、いまだに幼生しか発見されていない動物もある。
一般に、幼生と成体の違いは繁殖力の有無である。繁殖能力の獲得をもって、成熟の目安とするのが普通である。しかし、中には幼生が大いに繁殖する例もある。ただし、その繁殖は普通は無性生殖かそれに近い形を取る。
系統との関係
近縁な動物群の間で、幼生の形が共通であるのはよく見られることである。むしろ、幼生に共通点があることは、それらの動物群の間の類縁関係を示す証拠と見られる場合が多い。フジツボやエビヤドリムシなど、甲殻類の固着性や寄生性のものには、ほとんど節足動物らしい形を失ったものもあるが、これらの幼生では、はっきりと節足動物、それも甲殻類の幼生と共通の形(ノープリウス)が見られる。これ以外の仲間でも、固着性や寄生性のものでは、本来の体勢の特徴を失っているものが多いが、幼生にそれが見られるのはよく見られる現象である。
幼生の形が共通することは、それだけ進化の過程において多くを共有してきたものと見なすのが、反復説である。その可否は置くとしても、いくつかの門に共通する構造の幼生がある場合、それらの類縁性を考えるのが普通である。たとえば環形動物と軟体動物に見られるトロコフォア幼生がそのような例である。
呼称
多くの動物の幼生にはラテン語系の名がつけられている。日本ではこれの読みのカタカナ表記に幼生をつけて呼ぶことが多い。ただし、プラヌラやポリプ、レディアやケルカリアなど、慣用的に幼生をつけないことが多いものもある。
また、幼生という言葉自体を用いない例もある。陸上脊椎動物に対しては、まず使わない。幼獣とか幼体などが使われることが多く、一般的には子供も使われる。鳥類に対しては幼鳥または雛(ひな)が用いられる。
節足動物では、昆虫に例外が多い。まず、幼生ではなく幼虫を使う。それに、個々の幼虫に対して慣用的に使われる名前(イモムシ・ケムシ・ボウフラ・ヤゴ・ウジ等)が多いので、一般にはそれで流通する。それに、蛹と言うのもある。
昆虫のあおりを食らって、陸上の節足動物では、幼虫が使われることも多い。学問的には、昆虫の場合も含めて幼生が使われる。ダニなどでは若虫という名で呼ばれる時期もある。
なお、花虫綱以外の刺胞動物の場合には、クラゲの姿が有性生殖を行うので、ポリプは幼生という位置付けになるが、ポリプは無性生殖を行い、クラゲ以上に長命であったり、より発達した姿である場合もあり、これを独立した世代とみなす見方もある。その場合、その生物はクラゲとポリプの二つの世代をもつ、世代交代を行うという。
代表的な幼生の名
- 刺胞動物:プラヌラ - ポリプ - ストロビラ - エフィラ
- 偏形動物
- 条虫類:六鉤幼生 -
- 吸虫類:ミラキディウム - スポロシスト - レディア - ケルカリア
- 紐形動物:ピリディウム
- 軟体動物(一般):トロコフォア
- 貝類:ベリジャー
- 環形動物・内肛動物・星口動物:トロコフォア
- 箒虫動物:アクチノトロカ
- 節足動物
- 甲殻類:ノープリウス - メタノープリウス
- エビ類:ゾエア - ミシス、フィロソマ
- カニ類:ゾエア - メガロパ
- 昆虫:幼虫(イモムシ・ケムシ・シャクトリムシ・ヤゴ・ウジ・ボウフラ) - 蛹
- ダニ類:若虫
- 棘皮動物
- ウミシダ類:ドリオラリア
- ナマコ類:オーリキュラリア
- ヒトデ類:ビピンナリア
- ウニ類:プルテウス(エキノプルテウス)
- クモヒトデ類:オフィオプルテウス
- 半索動物:トルナリア
- 脊索動物
- ホヤ類:オタマジャクシ型幼生
- 円口類:アンモシーテス
- 魚類:レプトケファルス(ウナギなど)
- 両生類:オタマジャクシ
関連項目
- 発生
- 成長
- 変態
- 幼形進化
カテゴリ: 動物学

